今昔物語集とは|日本最大の説話集の内容

日本最大の説話集である、今昔物語集。
平安時代の末期に作られ、1000話を超えるお話が収められています。

今回は今昔物語集の内容をご紹介したいと思います。

【目次】
今昔物語集とは
有名な作品のあらすじ

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今昔物語集とは

今昔物語集は、いつ、誰が何のために作ったのか詳細はわかっていません。
というのも、今昔物語集に注目が集まったのは近世になってからなのです。

それは今昔物語集が未完の作品である事が大きいです。
今昔物語集の構成としては全31巻から成り、1000話以上の説話が収められています。

”1000話以上”と数が曖昧なのは、題名だけで内容が書かれていないお話があったり、途中で終わっているものもあるので、数え方が難しいからです。

【今昔物語集の構成】
天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の3部構成から成る、日本最大の説話集
(8巻、18巻、21巻は欠巻)

巻1〜3
天竺付仏伝
仏陀伝、本生譚

巻4
天竺付仏後
仏滅後の仏弟子の教化伝法

巻5
天竺付仏前
釈迦の涅槃後に仏教がいかに広まったか、釈迦出生以前の天竺世界

巻6〜9
震旦付仏法

巻10
震旦付国史

巻11〜20
本朝付仏法

巻21〜31
本朝付世俗系

今昔物語集の名前の由来と特徴

今昔物語集という名前がついたのは、収められている説話が全て「今は昔」という書き出しから始まっているからです。
また、各巻ごとの説話は何らかの連想契機によって二話一類様式になっています。

【今昔物語集と文豪たち】
今昔物語集から着想を得て、多くの作家が作品を書いています。
芥川龍之介は今昔物語集を”野生の美しさに充ち満ちている”と評し、「鼻」や「藪の中」などの作品を残しました。
この他にも堀辰雄や菊池寛、武者小路実篤などの文豪や多くの創作者たちに影響を与え続けています。

有名な作品のあらすじ

それではここで、今昔物語集の中から主な2作品をピックアップしてその内容を現代語訳のあらすじでご紹介したいと思います。

何者とも知れぬ女盗賊の話

30歳くらいの赤ひげの男が、見知らぬ女性に家に招き入れられます。
その女性はとても美しく、怪しく思いながらも男女の仲になりました。
侍女ふうの女性が食事まで出してくれて、まさに至れり尽くせり。

20日程そんな生活を続けたある日、女は「思いがけずこうなりましたのも、かりそめのご縁のようですが、しかるべきご縁があったからこそ、こうしてここにいらっしゃるのでしょう。ですから、生きるも死ぬも、私が言うことにはよもや嫌とはおっしゃいますまいね」と言いました。
男はこれまで至れり尽くせりしてもらっているので、「本当に今は生かすも殺すも、あなたの御心のままです。」と答えます。

すると、女は奥の別棟に男を連れていき、細長い杖で男を何回も叩きます。
「どう、痛くない」と男に尋ねると、「なあに、たいしたことはない」と答えます。
女は「思ったとおりの頼もしい方ね」と言って、丁寧に止血をしてあげて豪勢な食べ物も用意しました。

3日ほどで傷が癒えてくると、また同じように杖で打ちます。
前回よりも大きな傷を負いながら、男はまた耐えました。
また丁寧に介抱し、そんなことを何回か続けたある夕暮れ方、男は盗賊の手伝いをさせられることになります。

女に従って悪事を働くようになっていったある日、男が二日程外出の用事を済ませて家に帰ると、一切が跡形もなく消えていました。

(巻29 第3話)

平中が本院の侍従に恋する話

今は昔、兵衛府の次官で平定文という人がいました。
通称は平中。
気もきいて、容姿端麗だったので良い気になって色んな女性に声をかけていました。

ある時、とあるお屋敷の若い女性がとても美しいという噂を耳にして、手紙なので熱心にアピールしました。
しかし返事もなかなか来なかったので、「どんなに恋しても無駄だ」ともう諦めようとしましたが、中々忘れられません。

ある雨の日、こんな雨の中に行けばかわいそうに思ってくれるだろうと屋敷に行きますが、それでも上手くはぐらかされてしまいます。
それでも女性が忘れられない平中は、どうにかして女性の事が嫌いになれないだろうかと、こう思いつきます。
「この人がこんなふうにすばらしく優雅であろうとも、便器にしたものは我らと同じに違いない。それを引っ掻き回して見てやれば、きっと嫌気がさすであろう。」

こんな事を思いついて、女性の部屋から便器を持って出てきた女の子から強引に奪って、じっくり観察します。
すると便器には美しい漆の装飾が施してあり、恐る恐る蓋を開けるとなんと丁子の良い香りが。
中にあった”それ”と思われるものを木で突き刺して匂いをかぐと、すばらしく香ばしい黒方の香りがします。
少し舐めてみると、ほろ苦くて甘い。

そこで平中は気が付きます。
「尿と見せて入れた物は、丁子の煮汁だったのだ。もう一つの物は、野老と練香をあまずらで調合して練り合わせ、それを大きな筆の軸に詰めてそれを押し出したものだったのだ。考えてみるに、女が男にいろいろな心遣いをすることはあろう。だが、『便器を掻き回して男が見るだろう』とまでは、誰が気遣いしようぞ。ああ、何から何まで実によく気のはたらく人だ。この世の人とも思われない。なんとしても、この人に思いを遂げたい」
こう思い焦がれているうちに、平中は病気になり、悩み臥しているうちにとうとう死んでしまいました。

(巻30 第1話)

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