大和物語(やまとものがたり)は平安時代中期に書かれた物語で、作者はわかっていません。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる大和物語の中から「峰のもみぢ葉」について詳しく解説していきます。
大和物語「峰のもみぢ葉」の解説
大和物語でも有名な、「峰のもみぢ葉」について解説していきます。
大和物語「峰のもみぢ葉」の原文
亭子の帝の御供に、太政大臣、大堰に仕うまつり給へるに、紅葉、小倉の山に色々いとおもしろかりけるを、限りなく愛で給ひて、
「行幸もあらむに、いと興ある所になむありける。必ず奏してせさせ奉らむ。」
など申し給ひて、ついでに、
となむありける。
かくて帰り給うて、奏し給ひければ、
「いと興あることなり。」
とてなむ、大堰の行幸といふこと初め給ひける。
大和物語「峰のもみぢ葉」の現代語訳
亭子の帝(=宇多上皇)の御伴をして、太政大臣の藤原忠平が、大堰川にご同行申し上げなさった時に、紅葉が、小倉山にさまざまな色で、(映えているのが)たいそう美しかったのを、この上なく感嘆なさって、
(忠平公は、)「(醍醐天皇の)行幸ももしあったとしたら、本当に(紅葉の美しさが)興趣のある場所でありますよ。(宮中に帰ったなら)何としても(帝に)奏上申しあげて、(この地への行幸を実現)させ申しあげましょう。」
などと申しなさって、その折に、
と歌をお詠みになった。
こうして(忠平公は、宮中に)お帰りになって、(帝に)奏上なさったところ、
「(それは、)たいそう趣が深いことだ。」
ということで、(その時から)大堰の行幸というものをお始めになった(ということだ)。
大和物語「峰のもみぢ葉」の単語・語句解説
同行申しあげなさる。
[限りなく愛で給ひて]
この上なく感嘆なさって。
[行幸]
天皇・上皇・法皇・女院の外出のこと。
[あらむに]
あるなら。
[奏して]
帝に申しあげて。
[せさせ]
「せ」はここでは「行幸をする」の意をさすサ変動詞「す」。「させ」は使役で、「(行幸を)させ(る)」の意になる。
[ついで]
その折。
[待たなむ]
待ってほしい。
[かくて]
このようにして。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は大和物語でも有名な、「峰のもみぢ葉」についてご紹介しました。
その他については下記の関連記事をご覧下さい。
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