当サイトはアフィリエイト広告を使用しています。

枕草子・方丈記・徒然草|三大随筆の比較と特徴まとめ|高校古典

原稿用紙の画像|四季の美
Sponsored

日本三大随筆といえば、「枕草子(まくらのそうし)・方丈記(ほうじょうき)・徒然草(つれづれぐさ)」として知られています。
それぞれが日本を代表する随筆で、高校の古典教科書にも掲載されています。

今回はそんな日本三大随筆の「枕草子・方丈記・徒然草」それぞれの作品の特徴について、比較しながらご紹介していきます。

Sponsored

日本三大随筆の比較と特徴まとめ

日本三大随筆を年代の古い順に並べると、下記の順番になります。

1.枕草子
2.方丈記
3.徒然草

それぞれこの順番で詳しくみていきましょう。

枕草子(まくらのそうし)

枕草子は長保三年(1001年)頃に初稿本が成立し、その後更に加筆され、寛弘(1004年〜1012年)頃に完成したとされています。

作者は、清少納言(せいしょうなごん)。
父は清原元輔、曽祖父は清原深養父で、学者・歌人の家庭で育ちました。

中宮定子(ちゅうぐうていし)に仕えた事はわかっていますが、詳しい生い立ちや本名などはわかっていません。

枕草子の内容

枕草子は、作者である清少納言が一条天皇の中宮定子を中心とした後宮に出仕していた時の体験や感想などが記された作品です。

約300段から成り、その内容は下記の3種類に分類する事が出来ます。

類想(類聚)的章段
特定のテーマに沿って、関連するものを集め、批評した章段です。
「うつくしきもの」「鳥は」など。
随想的章段
自然についてや人事についてなどを、作者の豊かな感受性と観察眼で、自由に表現した章段です。
”をかし”の美学が根底となっています。
「春は曙」「月のいとあかきに」など。
回想的章段
作者が宮廷生活で体験した事柄を記した章段です。
「うへにさむらふ御ねこは」「清涼殿のうしとらのすみの」など。

枕草子の評価

枕草子は、日本で最初かつ世界でも最初の随筆文学となっています。
簡潔な文章の中に作者の瑞々しい感性が溢れており、その後の日本人の美的感覚にも影響を与えました。
また、自身の体験も記されている事から、当時の宮廷の生活記録としても貴重な資料となっています。

枕草子の原文と現代語訳

春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

[意味]
春はなんといってもほのぼのと夜が明けるとき。だんだんとあたりが白んで、山のすぐ上の空がほんのりと明るくなって、淡い紫に染まった雲が細くたなびいている様子。

上記の文章は、学校でも暗記テストが出るくらい有名な章段の一部です。

詳細やその他の原文・現代語訳は下記の記事をご覧下さい。

枕草子の原文内容と現代語訳|清少納言の生涯

方丈記(ほうじょうき)

方丈記は中世・鎌倉時代初期の1212年に成立した随筆です。

作者は、鴨長明(かものちょうめい)。
下鴨神社の正禰宜の次男として1155年(久寿2年)に生まれたとされ、恵まれた環境で育っていましたが、18歳の時に父が急死。
以降は”みなしご”として生きていき、一度は妻子を持つも30歳で離別するなど、不遇の時代が続きました。

方丈記の内容

方丈記は全一巻から成る作品で、前半は作者が体験した都の生活の儚さが、災害などの描写と共に記されています。
後半は自身の家計や住環境について記しつつ、出家後の生活の様子が、心の内と共に記されています。

方丈記の評価

方丈記は日本人の無常感(世の中は常に変化し、いつまでも同じものは無いという考え)を表した作品といわれており、まさにその時代の人々の感覚を見事に表現しています。

方丈記の原文と現代語訳

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみにうかぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人と棲(すみか)と、又かくの如し。

現代語訳

流れる川の流れは絶え間ないが、しかし、その水はもとの水ではない。
よどみの水面に浮かぶ泡は消えては生じ、そのままの姿で長くとどまっているというためしはない。
世の中の人と住まいも、これと同じなのだ。

上記の文章は、方丈記の冒頭の文章で、教科書などで学んだ記憶がある方も多いと思います。
鴨長明が生きた、まさに動乱の時代の無常観を表した名文です。

詳細やその他の原文・現代語訳は下記の記事をご覧下さい。

鴨長明の方丈記|無常観とは?内容解説|原文と現代語訳

徒然草(つれづれぐさ)

徒然草は中世・鎌倉時代末期の1331年頃に成立した随筆です。

作者は、兼好法師(けんこうほうし)。
兼好(けんこう)というのは出家後の法名で、姓名は卜部兼好(うらべかねよし)といいます。

兼好の家系である卜部氏は、神道界の名門でした。
吉田神社を預かる家の支流に生まれ、兼好は幼少期から恵まれた環境で育ちます。

しかしその後兼好は何らかの理由で出家し、妻子ももたずに一人で遁世生活を送りました。

兼好法師の人生については謎が多く、現在も研究が続けられています。
生まれたのは1283年(弘安6年)、死没は1352年(正平7年・文和元年)、享年は70余歳と推定されていますが、詳細はわかっていません。

徒然草の内容

徒然草は作者である兼好法師が、自身の経験から得た考えや逸話などを書き綴った、全2巻244段から成る随筆です。
多種多様の随筆・見聞が書き記されており、無常感に根ざす人生論や、作者の知識や教養に基づく趣味論、過去の回想的記述などが様々な文体で書かれています。

徒然草の評価

徒然草は高度な思想的文学としても評価されており、常に自己や社会への懐疑精神を失わなかった兼好のあり方は、その後の数多くの知識人にも影響を与えました。

徒然草の原文と現代語訳

つれづれなるままに、日暮らし、硯(すずり)に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。


[意味]
孤独にあるのにまかせて、一日中、硯と向かい合って、心に浮かんでは消える他愛のない事柄を、とりとめもなく書きつけてみると、妙におかしな気分になってくる。

徒然草のこの冒頭の文章は教科書にも出ているくらい、とても有名です。

詳細やその他の原文・現代語訳は下記の記事をご覧下さい。

徒然草の原文内容と現代語訳|兼好法師の生涯

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は三大随筆の「枕草子・方丈記・徒然草」それぞれの作品の特徴について、比較しながらご紹介しました。

ご参考になれば幸いです。

参考/おすすめ書籍


古典
Sponsored
シェアする
四季の美をフォローする
Sponsored

関連

四季の美