枕草子の内容と現代語訳|清少納言の生涯

世界初の随筆文学である「枕草子」。
作者は清少納言です。
枕草子は兼好法師の「徒然草」、鴨長明の「方丈記」と並び、日本三大随筆の一つにもなっています。

春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

[意味]
春はなんといってもほのぼのと夜が明けるとき。だんだんとあたりが白んで、山のすぐ上の空がほんのりと明るくなって、淡い紫に染まった雲が細くたなびいている様子。

この冒頭の文章はとても有名で、学校で暗記した方も多いのではないでしょうか。
今回は日本が世界に誇る随筆文学「枕草子」について、ご紹介したいと思います。

【目次】
枕草子とは
 清少納言の生涯
枕草子の内容と現代語訳
まとめ

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枕草子とは

枕草子が書かれたのは平安時代の中期、1001年(長保3年)頃。
約300の章段から成り、大きく分けて内容は下記の3種類に分類されます。

  • 「川は」など、特定のテーマに沿って関連するものを書いた類聚的章段
  • 宮中での経験を書いた日記的章段
  • 思ったことや考えを書いた随想的章段

清少納言の生涯

枕草子の作者、清少納言が生まれたのは966年頃。
あまり身分の高くない受領階級の娘として生まれました。
歌人として活躍していた家系で、父親は後撰和歌集の撰者でもある清原元輔。
清少納言もその文才を受け継いだのです。

16歳頃、清少納言は橘則光と結婚し、翌年に則長を生みます。

そして993年、清少納言が30歳くらいの時に一条天皇の妃である中宮定子に仕えるため、宮中に出仕しました。
定子と清少納言の仲は非常に良く、当時貴重だった紙を定子に貰った事が枕草子執筆のきっかけになります。

密かに書いていた枕草子でしたが、左中将の源経房が訪れた時にこの本を借り、周囲にも読ませた事が世間に広まっていきました。

枕草子執筆のきっかけとなった定子でしたが、清少納言に紙を渡した数年後、24歳の若さで亡くなってしまいます。
定子が枕草子の全編を読むことが出来たのかは、わかっていません。
清少納言は当時としては長命で、60歳程まで生きたとされています。

枕草子の内容

この章では、枕草子の原文と現代語訳を抜粋してご紹介します。

冒頭文

[一段]原文:
春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

夏は夜。月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。

秋は夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近くなりたるに、烏(からす)の、寝所(ねどころ)へ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入りはてて、風の音、虫の音など、はた、言ふべきにあらず。

冬は早朝(つとめて)。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりて、わろし。

[現代語訳]
春はほのぼのと夜が明けるときが素敵。だんだんとあたりが白んで、山のすぐ上の空がほんのりと明るくなって、淡い紫に染まった雲が細くたなびいている様子が良い。
夏は夜。月が出ていればもちろん、闇夜でも、蛍がいっぱい飛び交っている様子。また、ほんの一つ二つ、ほのかに光っていくのも良い。雨の降るのもまた良い。
秋は夕暮れ。夕日が赤々と射して、今にも山の稜線に沈もうという頃、カラスがねぐらへ帰ろうと、三つ四つ二つなど思い思いに急ぐのさえ、しみじみと心にしみる。まして、カリなどで列を連ねて渡っていくのが、遥か遠くに小さく見えるのは面白い。すっかり日が落ちてしまって、風の音、虫の音などが様々に奏でるのは、もう言葉に尽くせない。
冬は早朝。雪が降り積もっているのはもちろん、霜が真っ白に降りているのも、またそうでなくても、はりつめたように寒い朝、火などを大急ぎでおこして炭火を部屋から部屋へ運んでまわるのも、いかにも冬の朝らしい。昼になってだんだん寒さが緩むと火鉢の炭火も白く灰をかぶってしまって間の抜けた感じだ。

すさまじきもの

[二二段]原文:
すさまじきもの
昼吠ゆる犬。春の網代。三、四月の紅梅の衣。牛死にたる牛飼ひ。稚児亡くなりたる産屋。火おこさぬ火桶、炭櫃(すびつ)。博士のうち続きに女子うませたる。方違にゆきたるにあるじせぬ所。まして節分などはいとすさまじ。

[現代語訳]
似合わなくて期待はずれで、気持ちがさめてしまうもの。昼に吠える犬。春まで残っている網代。三、四月(今の四、五月)の紅梅がさねの着物。牛の死んでしまった牛飼い。赤ん坊の亡くなってしまった産室。火をおこさない火鉢、いろり。学者の家に続いて女の子ばかり生まれたの。方違え(陰陽道で災いを避ける為に方向を変えてから目的地に行くこと)に行ったのにご馳走をしない家。まして節分など特別な日は、ほんとうに期待はずれだ。

心ときめきするもの

[二六段]原文:
心ときめきするもの
雀の子飼ひ。稚児遊ばする所の前渡る。
よき薫き物たきて、一人臥(ふ)したる。唐鏡の少し暗き見たる。よき男の車とどめて、案内問はせたる。

頭洗ひ、化粧じて、香ばしう染みたる衣など着たる。ことに見る人なき所にても、心のうちはなほいとをかし。待つ人などのある夜、雨の音、風の吹きゆるがすも、ふと驚かる。

[現代語訳]
心がときめくもの
スズメの子を飼う。赤ん坊を遊ばせている所の前を通る。良い香をたいて、一人で横になっている時。舶来の鏡が少し曇ったのを覗き込んだ時。身分の高そうな男が牛車を止めて、供の者に何か尋ねさせているの。髪を洗い、お化粧をして、香りをよくたきこんで染み込ませた着物などを着た時。別に見る人もない所でも、心の中ははずんでとても素敵だ。待っている男のある夜、雨の音、風が吹き、がたがた音がするのも、はっと胸が騒ぐ。

過ぎにし方恋しきもの

[二七段]原文:
過ぎにし方恋しきもの
枯れたる葵。雛あそびの調度。
二藍、葡萄染などのさいでの、押しへされて、草紙の中にありける、見つけたる。また、折からあはれなりし人の文、雨など降り徒然なる日、探し出でたる。去年のかはぼり。

[現代語訳]
過ぎ去った昔が恋しく思い出されるもの。枯れてしまったアオイの葉。
人形遊びの道具。紫がかった青色、薄紫色などの布の端切れが、押しつぶされて本の間なんかに挟まっているのを見つけたの。また、もらったときしみじみと心を動かされた手紙を、雨などが降ってすることもないような日に見つけだしたの。去年の夏の扇。

あてなるもの

[三九段]原文:
あてなるもの
薄色に白襲(しらがさね)の汗袗(かざみ)。雁の子。削り氷(けずりひ)のあまづらに入れて、新しき鋺(かなまり)に入りたる。水晶の数珠。藤の花。梅の花に雪の降りかかりたる。いみじう美しき児の、いちごなど食ひたる。

[現代語訳]
上品なもの。
薄紫の衵(あこめ=肌着の上に着る内着)の上に白いかざみをかさねたの。カリの卵。かき氷に甘いつゆをかけて新しい金の器に入れたの。水晶の数珠。フジの花。ウメの花に雪が降りかかっているの。とても可愛らしい子どもがイチゴなどを食べているの。

夏の昼寝

[四一段]原文:
七月ばかりに、風のいたう吹きて、雨などさわがしき日、おほかたいと涼しければ、扇もうち忘れたるに、汗の香少しかかへたる綿衣の薄きをいとよく引き着て、昼寝したるこそ、をかしけれ。

[現代語訳]
七月ごろ(今の八月末)、風がひどく吹いて雨音がうるさい日に、たいていはとても涼しいので、もう夏扇のことなど忘れてしまって、汗の香が少し残っている綿入れの薄いのをすっぽりと被って昼寝をしたのは、良い気持ちだ。

河は

[五九段]原文:
河は
飛鳥川、淵瀬も定めなく、いかならむと、あはれなり。大井川。音無川。七瀬川。
耳敏川、またも何事をさくじり聞きけむと、をかし。玉星川。細谷川。五貫川、沢田川などは、催馬楽(さいばら)などの思ははするなるべし。
名取川、いかなる名を取りたるならむと、聞かまほし。吉野川。天の河原、「棚機つ女に宿借らむ」と、業平が詠みたるも、をかし。

[現代語訳]
川は
飛鳥川、昨日は深かったところが今日は浅瀬になっていると、歌では無常そのもののように詠まれているが、どんな川なのかあわれに思われる。大井川、音無川、七瀬川。
耳敏川。また、いった何ごとをりこうぶって聞いたのだろうと思うとおかしい。玉星川。細谷川。五貫川・沢田川などは、催馬楽(=宮廷の雅楽)などを思い浮かべる。名取川、どんな名を取ったのだろうと聞きたくなる。吉野川・天の河原、「七夕の織姫に宿を借りよう」と在原業平が歌に詠んだのも、面白い。

男女の別れ際

[六◯段]原文:
人はなほ、暁の有様こそ、をかしうもあるべけれ。わりなくしぶしぶに、起きがたげなるを、強ひてそそのかし、「明け過ぎぬ。あな見苦し」など言はれて、うち嘆く気色も、げに飽かずもの憂くもあらむかし、と見ゆ。指貫なども、居ながら着もやらず、まづさし寄りて、夜言ひつることの名残、女の耳に言ひ入れて、なにわざすともなきやうなれど、帯など結ふやうなり。格子押し上げ、妻戸ある所は、やがてもろともに率て行きて、昼のほどのおぼつかなからむことなども言ひ出でにすべり出でなむは、見送られて、名残もをかしかりなむ。思ひいで所ありて、いときはやかに起きて、ひろめきたちて、指貫の腰こそこそとかはは結ひ、直衣、袍、狩衣も、袖かいまくりて、よろづさし入れ、帯いとしたたかに結ひ果てて、つい居て、鳥帽子の緒、きと強げに結ひ入れて、かいすふる音して、扇、畳紙など、昨夜枕上に置きしかど、おのづから引かれ散りにけるを求むるに、暗ければ、いかでかは見えむ、「いづら、いづら」と叩きわたし、見いでて、扇ふたふたと使ひ、懐紙さし入れて、「まかりなむ」とばかりこそ言ふらめ。

[現代語訳]
男というもの、やはり、明け方の別れ際の姿にこそ、そのセンスと真情が問われるというもの。しかたなくしぶしぶと、いかにも起きたくなさそうなのを、女に無理にせきたてられ、「もうすっかり明るくなってしまったわ。世間体が悪い」などと言われ、ちょっとため息なんかついているのは、本当にもっと一緒にいたいのだろうと思わせる。指貫袴なども座ったままではこうともせず、また女にくっついて、夕べの甘いことばの続きを女の耳にささやき、そのうちさりげなく帯など結ぶ様子ではある。
格子を押し上げて、妻戸(=両開きの扉)の所まで女を連れていき、今日の昼間会えない間、どんなに気がかりで不安だろうかなどとつぶやきながらそっと出て行く。そんな別れ方なら、女も自然にその後姿を、いつまでも名残惜しげに見送ることだろう。
何か急に思い出したようにさっさと起き出して、ばたばたと指貫袴をはいてひもをごそごそ締め、直衣や狩衣なども袖をまくりあげてたくし込み、帯を固く結んで座り直し、烏帽子のひもをきっときつそうに結び、それをきちっとかぶり直す音がする。扇・懐紙など、夕べ枕元に置いたのが自然にあちこち散らばってしまったのを探すのだが、暗いので見つからない。
「どこだ、どこだ」と手探りでたたきまわり、やっと見つけ出してほっとして扇ではたはたあおぎ、懐紙を突っ込んで、「それじゃ、帰るとするか」などと言う。

ありがたきもの

[七二段]原文:
ありがたきもの
舅に褒めらるる壻。また姑に思はるる嫁の君。毛のよく抜くる銀の毛抜き。主そしらぬ人従者。
つゆの癖なき。かたち・心・ありさますぐれ、世にふるほど、いささかのきずなき人。同じ所に住む人の、かたみに恥ぢかはし、いささかの暇なく用意したりと思ふが、遂に見えぬこそかたけれ。
物語・集など書き写すに、本に墨つけぬ。よき草紙などは、いみじう心して書けど、必ずこそ汚げになるめれ。男・女をば言はじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末まで仲よき事、かたし。

[現代語訳]
めったにないもの。舅にほめられる婿。また、姑にほめられるお嫁さん。毛がよく抜ける銀の毛抜き。主人の悪口を言わない使用人。
全然欠点のない人。顔立ち・心・ふるまいも優れていて、ずっと世間で人付き合いをしてきて、ほんの少しの非難も受けない人。
同じ仕事場で働いている人で、互いに礼をつくし、少しの油断もなく気を遣い合っている人が、最後まで本当のところを見せないままというのもめったにない。
物語や和歌集などを書き写す時、元の本に墨を付けないこと。上等な本などはとても気を付けて写すのだけれど、必ずといっていいほど汚してしまうようだ。
男と女とはいうまい、女同士でも、関係が深くて親しくしている人で、最後まで仲が良いことはめったにない。

あさましきもの

[九三段]原文:
あさましきもの
指櫛(さしぐし)すりて磨くほどに、物に突きさへて折れたる心地。車のうち返りたる。さるおほのかなる物は、所せくやあらむと思ひしに、ただ夢の心地して、あさましうあへなし。
人のために恥づかしうあしき事、つつみもなくいひいたる。かならず来なむと思ふ人を、夜一夜起き明かし待ちて、暁がたに、いささかうち忘れて寝入りにけるに、烏のいと近く、かかと鳴くに、うち見あげたれば、昼になりにける、いみじうあさまし。
見すまじき人に、ほかへ持て行く文見せたる。むげに知らず見ぬことを、人のさし向かひて、争はすべくもあらず言ひたる。ものうちこぼしたる心地、いとあさまし。

[現代語訳]
呆然としてしまうもの
指櫛をこすって磨くうち、物にぶつかって折ってしまった時の気持ち。牛車がひっくり返ったの。あんなに大きなものはどっしりしていると思っていたのに、ただ夢のような気がして、唖然としてあっけない思いだ。
当人にとっては恥ずかしく具合の悪いことを、遠慮もなく言っているの。絶対来ると思う男を、一晩中まんじりともせず起きて待っていて、明け方にふと忘れて寝込んでしまい、カラスがすぐそばでカアカア鳴くので、ちょっと見上げたら昼時になってしまっていた、なんてことだと呆れ返ってしまう。
見せてはいけない人に、他へ持って行く手紙を見せてしまったの。こちらがまるっきり知らず見もしないことを、人が、ひざ詰めで反論もできないぐらいに言うの。何かをひっくり返してこぼした時の気持ち、本当にがっかりだ。

胸つぶるるもの

[一四五段]原文:
胸つぶるるもの
競馬見る。元結よる。親などの心地あしとて、例ならぬ気色なる。まして、世の中などさわがしきころ、よろづの事おぼえず。また、物言はぬ児の泣き入りて、乳も飲まず、乳母の抱くにも止まで、久しき。
例の所ならぬ所にて、殊に又いちじるからぬ人の声聞きつけたるは道理(ことわり)、異人(ことひと)などの、その上などいふにも、まづこそつぶるれ。いみじう憎き人の来たるにも、またつぶる。あやしくつぶれがちなるものは、胸こそあれ。
昨夜来始めたる人の、今朝の文の遅きは、人のためにさへ、つぶる。

[現代語訳]
はらはらどきどきするもの。競馬見物。元結をよる時。親などが具合が悪いといって普段と違う様子の時。まして、世間で伝染病が流行っていると聞けば、もう何も手につかない。
また、口の聞けない赤ん坊が泣くばかりで乳も飲まず、乳母が抱いてもずっと泣き止まない時。
思いがけない所で、特にそれも、公でない恋人の声を聞きつけた時は当然のこと、他の人が、その噂などをしても、たちまちドキドキする。
ひどく嫌な人が来た時もまたドキドキ。変にドキドキ縮みっぱなしなのが心臓というもの。昨夜通い始めた男の今朝の手紙が遅いのは、人ごとでもはらはらする。

うつくしきもの

[一四六段]原文:
うつくしきもの
瓜に書きたる児の顏。雀の子の、鼠なきするに、をどりくる。二つ三つばかりなる児の、急ぎて這ひくる道に、いと小さき塵のありけるを目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人などに見せたる、いとうつくし。頭は尼そぎなる児の、目に髮のおほへるを、かきはやらで、うち傾きて、物など見たるも、うつくし。大きにはあらぬ殿上童の、装束きたてられて歩くも、うつくし。
をかしげなる児の、あからさまに抱きて遊ばしうつくしむ程に、かいつきて寝たる、いとらうたし。

雛の調度。蓮のうき葉のいと小さきを、池よりとりあげたる。葵のいと小さき。何も何も、小さき物は、皆うつくし。

いみじう白く肥えたる児の二つばかりなるが、二藍の薄物など、衣長にて、襷結ひたるが這ひ出でたるも、また、短きが袖がちなる着て歩くも、皆うつくし。
八つ九つ、十ばかりなどの男子の、声は幼げにて書読みたる、いとうつくし。

鶏の雛の、足高に白うをかしげに、衣みじかなるさまして、ひよひよとかしかましう鳴きて、人の後・前に立ちて歩くも、をかし。
また、親の、ともに連れて立ちて走るも、皆うつくし。雁の子。瑠璃の壺。

[現代語訳]
かわいらしいもの。ウリに描いた子どもの顔。スズメの子がチュッチュッというと跳ねて来る。二つか三つの幼児が、急いで這ってくる途中に、ほんの小さなごみがあったのをめざとく見つけて、ふっくらと小さな指でつまんで、大人などに見せているしぐさ。おかっぱ頭の子どもが、目に前髪がかかるのをかき上げないで、ちょっと頭をかしげてものを見たりしているしぐさ。それほど大きくはない公卿の子息が、美しい衣装を着せられて歩く姿。きれいな赤ん坊が、ちょっと抱いてあやしてかわいがっているうちに、抱きついて寝てしまったようす。
人形遊びの道具。ハスの浮き葉のとても小さなのを、池の中から取り上げたの。アオイのとても小さいの。小さいものはみんな可愛らしい。
たいそう色白な太った幼児で、二つばかりのが、二藍の薄物の長いのを着て、袖をタスキに結んで這い出して来たのも、また、丈は短いが袖ばかり目立つのを着て歩きまわるのも、みな可愛い。八つか九つ、十くらいの少年が、子どもっぽい高い声で本を読んでいるのも。
ニワトリの雛が、足長く、白く愛らしく、裾をからげたような格好で、ぴよぴようるさく鳴いて、人の後先に立って歩くのも面白い。また、親鳥が一緒に連れて走るのもみな、可愛らしい。カルガモの卵。瑠璃の壺。

ただ過ぎに過ぐるもの

[二四五段]原文:
ただ過ぎに過ぐるもの
帆かけたる舟。人の齢。春、夏、秋、冬。

[現代語訳]
ただもう過ぎていってしまうもの。帆を上げた舟。人の年齢。春、夏、秋、冬。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日本が世界に誇る随筆文学、枕草子。
1000年前の人々が何に心が動き
、何を考えていたのかも知る事ができる貴重な資料でもあります。

また原文の美しい日本語の調べも、とても心地よいですよね。
読み返してみると、新しい発見が見つかりますよ。

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