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焼き物一覧|陶器・磁器の違いと産地別の特徴まとめ|日本の器大辞典

焼き物
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 4-15. 砥部焼

砥部焼とは愛媛県(松山市、伊予郡松前町及び砥部町)で主に生産される伝統的工芸品です。
白磁の表面に、呉須(ごす)という藍色の顔料で模様を描く磁器です。

砥部焼は、大洲藩主である加藤泰候(かとうやすとき)が経済政策の一環として砥石くずを使った磁器の生産を始めたのが起源とされています。

砥部焼は、白磁の表面に藍色で模様を描きます。
焼き上がりは非常に堅く丈夫で、厚めのぽってりとした形も人気となっています。
夫婦喧嘩で投げても壊れない器として「けんか器」の異名も持つ程、丈夫な器です。

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産地情報

名称 砥部焼協同組合
住所 〒791-2132
愛媛県伊予郡砥部町大南604番地

 4-16. 小石原焼

小石原焼とは福岡県(朝倉郡東峰村)で主に生産される伝統的工芸品です。
刷毛目や飛び鉋、櫛目といった技法で描かれる模様が特徴的な陶器です。

小石原焼は17世紀の後半、福岡藩主である黒田光之が伊万里の陶工を呼び、窯を築いたのが起源とされています。
民藝運動にも関わったイギリス人陶芸家、バーナード・リーチが小石原焼を絶賛、更に1958年にブリュッセルで開催された万博の日本館第3部にて小石原焼がグランプリを受賞し、海外からも注目が集まりました。

小石原焼の最大の特徴に、飛び鉋や刷毛目、櫛目、流し掛けや打ち掛けといった技法で表面につけられる細かい幾何学模様が挙げられます。
また、素焼きを行わずに釉薬をかけるという工程にも特徴があり、温かみがあり親しみのある見た目も人気となっています。

産地情報

名称 小石原焼陶器協同組合
住所 〒838-1601
福岡県朝倉郡東峰村小石原730-9
小石原焼伝統産業会館 内

 4-17. 上野焼

上野焼とは福岡県(田川郡福智町)で主に生産される伝統的工芸品です。
絵付けは用いずに釉薬をかけるのみで、軽くて使いやすい為、日常の器として人気となっています。

上野焼は17世紀の初め、小倉藩主の細川忠興が職人に登り窯を作らせたのが起源とされています。
忠興自身が千利休から教えを受け茶道に精通していたため、茶道具が多く生産されました。

上野焼は絵付けを用いないのが特徴的です。
釉薬掛けだけで表現する為、様々な種類の釉薬が用いられます。
また、生地が薄く軽い為、茶道具だけでなく日常使いの器としても使用されています。

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産地情報

名称 上野焼協同組合
住所 〒822-1102
福岡県田川郡福智町上野2811
上野の里ふれあい交流会館

 4-18. 伊万里/有田焼

伊万里・有田焼とは佐賀県(伊万里市、武雄市、嬉野市、西松浦郡有田町)で主に生産される伝統的工芸品です。
透き通るような白磁が特徴で、鮮やかな絵付けが施されます。

伊万里・有田焼は16世紀、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本へやってきた陶工が有田泉山にて陶石を発見し、磁器を作り始めたのが起源です。
これが日本初の磁器とされ、現在でも磁器産地として日本を代表する産地となっています。
伊万里・有田焼の呼び分けとしては、国内や海外での知名度が高く、広義の呼び方とされるのが有田焼です。
伊万里焼という名前は、昔伊万里港から有田焼が出荷されていたことが起源となっています。

伊万里・有田焼の特徴はその美しく透き通るような白磁にあり、その上に絵付けを施します。
ガラスのように滑らかで堅く、薄くて軽いために日常の食器として人気となっています。

産地情報

名称 佐賀県陶磁器工業協同組合
住所 〒844-0026
佐賀県西松浦郡有田町外尾町丙1217

 4-19. 唐津焼

唐津焼とは佐賀県(唐津市、多久市、伊万里市、嬉野市、武雄市、東松浦郡玄海町、西松浦郡有田町、杵島郡白石町)で主に生産される伝統的工芸品です。
古くから焼物の産地として名を馳せており、「東はセトモノ、西はカラツモノ」や「一楽二萩三唐津」といった言葉でも評されています。

唐津焼の歴史は古く、16世紀頃に生産が始まったとされています。
その素朴で味わい深い見た目から、茶の湯の世界から重宝されていました。

唐津焼はシンプルで素朴な風合いが特徴です。
「作り手八分、使い手二分」という言葉があり、使ってもらって完成という用の美の考えをあらわしています。

産地情報

名称 唐津焼協同組合
住所 〒847-0816
佐賀県唐津市新興町2881-1
ふるさと会館アルピノ2階

 4-20. 三川内焼

三川内焼とは長崎県(佐世保市)で主に生産される伝統的工芸品です。
白磁に藍色の呉須で絵柄が描かれ、特に唐子絵で有名な磁器です。

三川内焼は17世紀の初め、平戸藩主の松浦鎮信(まつらしげのぶ)の命で焼物を作り始めたのが起源とされています。
その後明治維新まで、平戸藩の御用窯として栄えました。

三川内焼は、白磁に呉須で藍色の絵付けを行います。
唐子絵が有名で、その優雅で精緻な絵柄は日用品から高級品まで作られています。
また、「透かし彫り」や、光を通す程薄い「卵殻手」といった技法が特徴とされています。

産地情報

名称 三川内陶磁器工業協同組合
住所 〒859-3151
長崎県佐世保市三川内本町343
三川内焼伝統産業会館内

 4-21. 波佐見焼

波佐見焼とは長崎県(東彼杵郡東彼杵町、川棚町及び波佐見町)で主に生産される伝統的工芸品です。
産地には窯元が90近くあり、町で働く人の4割が器作りに携わっています。

お値段も手頃でお洒落な器である波佐見焼は、16世紀末に大村藩主の大村喜前の命で登り窯を築いたのが起源とされています。
良質な陶石が見つかったのがきっかけでした。

当初は陶器を焼いていましたが、徐々に磁器の生産にシフトしていきます。
大衆向けの製品を生産し、量産品を作ることで産地の規模を拡大していきます。

元々は有田焼の下請け仕事を行っていた波佐見ですが、現在は独自のお洒落な製品が数多く生産されています。

このマルヒロのブロックマグはカラフルな色とスタッキング出来る独特の形が特徴で、ついつい色んな種類を集めたくなってしまいます。

波佐見焼は、透けるような白磁の美しさと、呉須の藍色で描かれる絵付けに特徴があります。
また、大衆向けに生産されていたこともあり、下記のようなヒット商品も生み出してきました。

◯くらわんか椀

大阪の船着場にて、商人が「酒食らわんか餅食らわんか」と言いながら食べ物を打っていた「くらわんか船」が由来のくらわんか椀。
船の上でも倒れにくいように高台が重く作られているのが特徴です。
このお椀がヒットした最大の理由として価格の安さがあり、それまで高価なイメージがあった磁器のイメージを一変させました。

◯コンプラ瓶

海外への輸出用に生産された簡素な染付白磁で、瓶の中に醤油や酒を入れ輸出されていました。
中が見えないために、英語で醤油や酒といった文字が書かれている珍しいもので、ロシアの文豪のトルストイやフランスの皇帝ルイ14世も愛用していたと言われています。

◯波佐見陶器まつり


波佐見陶器まつり祭りとは、毎年ゴールデンウィークに波佐見町で開催される陶器市のことを指します。
年々来場者は増え続け、大変な人気のお祭りとなっています。
期間中は窯元、商社を合わせて150社程が出店し、通常より3〜4割程安く買うことが出来ます。

本会場のやきもの公園は大型のテントを完備しているので、雨でも安心です。

【アクセス】
有田駅から会場までは、無料シャトルバスが運行しています。9時~17時(30分に1便)
また、会場周辺には約3000台の専用駐車場(500円/日・普通車)があるので、車で行くことも出来ます。
ただ、期間中はやはり混雑するので、お車の場合は早めの出発をオススメします。

【詳細情報】

本会場 やきもの公園(波佐見町井石郷)
第2会場 波佐見有田インターチェンジ入口
HP 波佐見町公式サイト

産地情報

名称 波佐見陶磁器工業協同組合
住所 〒859-3711
長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2239

 4-22. 小代焼

小代焼とは熊本県(荒尾市、熊本市、宇城市、玉名郡南関町、玉名郡長洲町)で主に生産される伝統的工芸品です。
小岱焼とも表記される陶器で、釉薬を柄杓などで流しかける技法が特徴的です。

小代焼の歴史は古く、17世紀頃には生産されていました。

小代焼は高温で焼成する為丈夫で、日用雑器を多く生産しています。
また、藁や笹の灰からとった白釉や黄色釉を流しかける、流し掛けの技法が特徴です。
これらの釉薬と窯の温度等によって青小代や黄小代、白小代や飴小代という発色の色分けがなされます。

産地情報

名称 小代焼窯元の会
住所 〒864-0166
熊本県荒尾市府本1712-2
小岱焼末安窯 内

 4-23. 天草陶磁器

天草陶磁器とは熊本県(本渡市、上天草市、天草市、天草郡苓北町)で主に生産される伝統的工芸品です。
天草地方で生産される内田皿山焼、高浜焼、水の平焼、丸尾焼の主に4つの産地の陶磁器の総称です。

一番歴史が古いのが内田皿山焼で、17世紀まで遡ります。
そして高浜焼と丸尾焼が18世紀頃、水の平焼は昭和2年に生産が開始されました。

天草陶磁器は、豊富で良質な陶石と陶土の産地である天草地方で生産されている為質が高く人気があります。
陶器は釉薬の二重掛けで、ナマコ釉や黒釉など、個性のある製品も生産されています。
磁器は透き通るような白磁や柞灰を使った親しみのある風合いの製品が生産されています。

産地情報

名称 天草陶磁振興協議会
住所 〒863-2505
熊本県天草郡苓北町内田554-1
(有)木山陶石鉱業所 内

 4-24. 薩摩焼

薩摩焼とは鹿児島県で主に生産される伝統的工芸品です。
白薩摩、黒薩摩、磁器といった主に3つの製品で形成される陶磁器です。

薩摩焼は16世紀の末に薩摩藩17代藩主、島津義弘が慶長の役の際に陶工達を連れ帰り、地元で窯を築いたのが起源です。
1867年のパリ万博に出品されると海外の人々にも反響を呼び、知名度は上昇しました。

薩摩焼は、主に2種類に分類され、「白薩摩(白もん)」という高級志向の陶器と、「黒薩摩(黒もん)」という大衆向けの陶器に分類されます。
そのなかでも窯場によって系統が分かれ、苗代川系、竪野系、龍門司系、西餅田系、磁器系の5つがありますが、現在でも残っているのは苗代川系、龍門司系、竪野系の3つとなっています。

産地情報

名称 鹿児島県薩摩焼協同組合
住所 〒899-3101
鹿児島県日置市日吉町日置5679

 4-25. 壷屋焼

温暖な気候に、おおらかな県民性。
そんな沖縄で作られる焼き物は、沖縄らしい魅力に溢れています。
沖縄の言葉で、焼き物のことを”やちむん”といいます。
那覇市には”壺屋やちむん通り”と呼ばれる通りがあり、十数件の窯元が集まっています。

また、国の伝統工芸品に指定されている沖縄の焼き物といえば、壺屋焼(つぼややき)。
壷屋焼には荒焼(あらやち)と呼ばれる釉薬をかけない焼物と、 釉薬をかけ絵付けを行う上焼(じょうやち)と呼ばれる焼物があります。

やちむんと壺屋焼の違いとしては、沖縄の焼き物の総称が”やちむん”で、壺屋で作られる焼き物が”壺屋焼”ということになります。

◯読谷山のやちむん

沖縄の読谷山(ゆんたんざ)には60を超える窯元があり、ここで作られる器は読谷山焼とも呼ばれます。
その中でも人気の「北窯」という窯には4つの工房が入っており、四人の親方と二十数人の弟子で共同の大きな釜を使い焼き物作りをしています。

この北窯は読谷山でも最大で、年間9万個もの焼き物が作られています。
大きな釜では、焼くのに3日、冷ますのに3日もの時間を費やします。

また、沖縄の焼き物の特徴として素焼きをしないことが挙げられます。
素焼きをしない代わりに天日干しをして、直接化粧土をかける「生がけ」という技法を用います。

器の中心部分に”白い輪”があるのも特徴です。
これは、窯に入れる際に器を重ねて焼けるように、あえて削ってあるもの。
こうすることでより多くの器を焼けるようになり、お手頃な値段で販売することが出来るのです。

◯読谷山焼の歴史
そもそも読谷山で焼き物作りが行われるようになったのは、沖縄県初の人間国宝で陶芸家の金城次郎が読谷山に移住したことがきっかけとされています。
それまでは焼き物作りの中心は那覇でしたが、多くの陶芸家が読谷山で焼き物作りを始めました。

ちなみに、人気の北窯は1992年、4人の親方が共同で立ち上げたものです。

◯壺屋焼の起源と特徴
現在の壺屋焼の形として作られ始めたのは、17世紀頃といわれています。
沖縄でも随一の焼物産地となりましたが、明治維新後に低迷。
しかし柳宗悦らの民藝運動によって再び注目が集まり、一躍人気となりました。

壷屋焼は主に2種類に分かれており、荒焼と上焼があります。
荒焼は釉薬をかけずに焼きしめ、その後マンガンをかけて焼き上げます。
主に水かめや酒がめ、シーサーの置物なども荒焼で作られます。
上焼は陶土に白土をかぶせた後に色鮮やかな絵付や紋様を施し、釉薬をかけて焼き上げるもので、主に茶碗などの日用品が作られます。

産地情報

名称 壺屋陶器事業協同組合
住所 〒902-0065
沖縄県那覇市壷屋1-21-14
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まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は日本の焼き物についてご紹介しました。
気になる焼き物が見つかった方は、是非産地に行ってみて下さいね。

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