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焼き物一覧|陶器・磁器の違いと産地別の特徴まとめ|日本の器大辞典

焼き物
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古くから焼き物作りが行われてきた、日本。
全国各地に様々な陶磁器の産地が点在しており、国の伝統的工芸品に指定されているものだけでも31種類あります。

今回は日本の焼き物の魅力とその種類、そして全焼き物産地別の特徴をご紹介します。

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1.陶器と磁器の違い

茶碗
素敵な器は食卓を美しく演出するだけでなく、気分も華やかにしてくれるもの。
日本のやきものは海外でも人気で、世界に誇れる文化のひとつといえます。

陶器と磁器を合わせて「やきもの」と言いますが、この2つの違いはご存知でしょうか。
それぞれの特徴を知っていると、器選びやお手入れに役立ちますよ!

原材料の違い

陶器
「土もの」とも呼ばれるように、陶土と呼ばれる粘土が原材料です。ひび割れが起きやすいため、ガラスの材料となる珪石(けいせき)や長石を混ぜて使います。
磁器
こちらは「石もの」と呼ばれ、原材料は石英や長石などの陶石です。これらを粉砕して粉にし、粘土と混ぜて使います。

焼き方の違い

焼く工程における違いは主に2つあります。

(1)温度
陶器:800~1250℃ 
磁器:1200~1400℃

(2)焼く方法

  • 酸化焼成
  • 窯内に酸素を十分に取り込んで、徐々に温度を上げ青白い炎で焼きます。

  • 還元焼成
  • 窯内の空気の流れを遮断して、不完全燃焼の状態で焼きます。
    赤黒い炎で一酸化炭素を発生し、黒い煙が出ることも。
    燃料の種類や供給のタイミングが難しいため、高度な技術が必要です。

陶器は酸化焼成と還元焼成のどちらでも焼くことができ、磁器は還元焼成のみです。

出来上がりの違い

焼き上がった陶器と磁器には次のような違いがあります。

陶器 磁器
叩いたときの音 ゴンというにぶく低い音 キーン、カンカンという金属的で高く澄んだ音
光の透過性 なし あり
吸水性 高い 低い
素地の色 白、赤、黒、青、緑など80種類以上が可能 ほぼ白色
風合い 土のぬくもりや素朴さが感じられる。厚手。 ガラス質が高いため、なめらかで硬質。洗練された印象。薄手。
貫入
(釉薬と表地の間のヒビ模様)
釉薬を厚くかけると出やすい
日常の使用でもできる
釉薬が薄いので肉眼ではほとんど見えない
高台の特徴
(器を逆さまにしたときの輪)
茶色くざらざらしている 白く、なめらかできれい
CHECK
【釉薬(ゆうやく)とは】
原料の粘土などを成型後表面にかける薬品のこと。「うわぐすり」とも呼ばれ、焼くことでガラス状になり器の表面をコーティングする。

陶器、磁器それぞれに合ったお手入れ方法

陶器 ~吸水性の高さがお手入れのポイント~
toukiichi
購入後は水やぬるま湯に半日くらい浸すと、貫入や土成分が吸水し、調理時に油や臭いが浸み込みにくくなります。
使用前にも毎回ぬるま湯にくぐらせるとしみがつきにくいですよ。

使用後は早目に中性洗剤でやさしく洗いましょう。
つけおき洗いはカビの原因となるのでNG。乾燥の際も器同士が重ならないようにし、完全に乾いてから収納します。
もしカビが生えてしまったら煮沸して取り除き、風通しの良いところで乾燥させましょう。

吸水性が高い分、電子レンジの使用で多少膨張することも考えられますが、普段使い用に作られた製品なら大丈夫。
食洗機やオーブン、直火使用に関しては、購入時の注意書きにしたがってください。

磁器 ~丈夫ですが割れると鋭利で危険~
磁器
使い始めはほこりを取るため、ぬるま湯で洗いましょう。
使用後洗う際は中性洗剤とやわらかめのスポンジを使います。

陶器よりもじょうぶですが、薄いため、部分的な衝撃を受けると欠けてしまいます。
壊れた部分は鋭利になりやすいので、けがをしないように処理してくださいね。

電子レンジの使用も通常は問題ありませんが、金や銀の絵柄は扱いに注意が必要。
レンジでは金銀部分は燃えやすく、食洗機でも変色してしまいますし、剥げやすいので紙などに包んで保管するとよいでしょう。

2.焼き物の主な装飾技法

焼き物には、絵付けや釉薬の違いの他、様々な装飾技法があります。
その中でも代表的なものをご紹介します。

粉引(こひき)

器に白い化粧土をかけ、その上に透明釉を掛けて焼き上げる技法。

刷毛目(はけめ)

藁を束ねた刷毛を用いて白い化粧土を塗り装飾する技法。

掻き落とし

器の表面を削り、文様を施す技法。

三島手(みしまで)

素地を乾燥させる前に、器に印を押すように型で文様を施し、白化粧土を埋め込んだ象嵌にしてから透明釉を掛けて焼き上げる技法。

櫛目

櫛のような形をした道具で、線を引き装飾する技法。

飛鉋

生乾きの素地に、ロクロで回しながら鉋の刀を当てて連続した模様をつける技法で、小石原焼が代表的。

3.六古窯(ろっこよう)

日本には陶磁器の産地が大変多くありますが、その歴史は大変古く、時代時代で形を変えながら、その伝統の技が引き継がれています。

日本古来の陶磁器窯のうち「中世(平安末期~安土桃山時代)から約900年以上の歴史があり、現在も生産が続いている」という条件に合致した窯は現在6つあり、その6つの窯を総称して日本六古窯と呼んでいます。

具体的には、信楽(しがらき)、備前(びぜん)、丹波(たんば)、越前(えちぜん)、瀬戸(せと)、常滑(とこなめ)の6つがそれにあたります。
日本六古窯は、朝鮮や中国から渡来した製陶技術による近世からの窯(萩、唐津、有田、高取、薩摩など)とはハッキリと区別され、日本生まれ日本育ち、生粋の「日本のやきもの」とされています。

この日本六古窯の歴史や特徴について、ご紹介します。

3-1. 信楽焼(滋賀県甲賀市信楽町)

大物陶器で知られる信楽焼きですが、もともとは紫香楽宮(奈良時代に聖武天皇が近江国・現在の滋賀県甲賀市に設けた離宮)の屋根瓦を焼くことから始まったと伝えられています。

信楽の土は質が良いことで名高く、ケイ石や長石が多く混じっている為に独特の肌の粗さがあります。
室町時代になると、その素朴な風合いが千利休などさまざまな茶人から愛され、「茶陶信楽」として人気を得ました。

大正時代からは火鉢の生産もはじまり、昭和初期には今も名物となっているタヌキの置物なども作られるようになりました。
昭和天皇が信楽行幸の際、このタヌキを気に入られ歌に詠まれた事がきっかけとなり、一気に全国に広まります。

そして2019年のNHK朝ドラ「スカーレット」は、信楽焼が題材となった事で更に注目が集まっています。

関連記事:信楽陶器まつりの開催情報|交通アクセス&駐車場|春のしがらき駅前陶器市

産地情報

名称 信楽陶器工業協同組合
住所 〒529-1811
滋賀県甲賀市信楽町江田985番地

3-2. 備前焼(岡山県備前市伊部)

備前窯は猿投窯(さなげよう)の流れをくんでいる他の5つの窯とは源流が異なり、岡山県東部邑久(おく)地方の須恵器系の流れをくんでいます。
平安時代には全国随一の須恵器の生産地として繁栄しました。

釉薬を使わない焼き締めによる制作方法や赤みの強い味わいや「窯変」によって生み出される模様が特徴的です。
茶褐色の地肌は「田土(ひよせ)」と呼ばれる田の土と鉄分を含む山土を配合してつくられたもので使い込むほど味が出るといわれています。主に備前市伊部地区で作られていたため「伊部焼(いんべやき)」という別名もあります。

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産地情報

名称 協同組合岡山県備前焼陶友会
住所 〒705-0001
岡山県備前市伊部1657-7

3-3. 丹波焼(兵庫県篠山市今田町立杭)

丹波焼の発祥は、平安時代末期から鎌倉時代の初めといわれています。
桃山時代までは「穴窯」が使用されていましたが、その後「登り窯」が導入され、同時期に蹴りロクロ(日本では珍しい左回転ロクロ)の技術も取り入れ、その伝統技術が今に伝えられています。

江戸時代前期には、茶人・小堀遠州らの指導で味わいのある茶陶が焼かれました。
江戸後期には、篠山藩の庇護のもと、直作(なおさく)、一房(いちふさ)などの名工が競い、丹波焼の名を高めました。

穴窯時代は「小野原焼」と呼ばれていましたが、登り窯時代になってからは、現在の呼び名「丹波焼」や丹波立杭焼(たんばたちくいやき)や立杭焼などとよばれています。
平成26年度より最古の登窯復興プロジェクトが行われ、平成28年11月に焼成が行われる予定です。

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産地情報

名称 丹波立杭陶磁器協同組合
住所 〒669-2135
兵庫県篠山市今田町上立杭3番地

3-4. 越前焼(福井県丹生郡越前町)

今から約850年ほど前の平安時代末期、もともと須恵器を焼いていた地域でしたが、常滑の技術を導入して焼き締め陶を作り始めたのが、越前焼のはじまりといわれています。
硬くて丈夫な越前焼は、北海道南部から日本海沿岸地域などに船で運ばれ、水や穀物の貯蔵、藍染め、銭瓶などとして重宝されました。

室町時代以降、「お歯黒壺」という既婚女性が歯を黒くするのに用いる塗り物の容器が盛んに作られました。
この壺はのちに風流人に好まれ、一輪挿しなどにもつかわれました。
明治末から大正時代にかけて窯元の廃業が相次ぎ、伝統が途絶えたかに思えましたが、近年再び火がよみがえり、多くの陶芸家が新しい歴史をつくっています。

産地情報

名称 越前焼工業協同組合
住所 〒916-0273
福井県丹生郡越前町小曽原5-33

3-5. 瀬戸焼(愛知県瀬戸市)

瀬戸市の東南部にある猿投山の山麓が発祥の地。
9世紀の前半、猿投窯(さなげよう)で植物の灰を釉薬にした灰釉(かいゆう)陶器が新しく焼かれるようになりました。

当時の六古窯のなかで、器の強度を高めるために釉(うわぐすり)をかけて焼くという技法をとっていたのは瀬戸焼だけで、当時は「瓷器」(しき)と呼ばれ、京や有力な寺院を中心につかわれていたと伝えられています。

明治時代になると、1873年ウイーンで開催された万国博覧会での出展を皮切りに、フィラデルフィア、パリなどでも積極的に出品され、高い評価を得ました。

これを機に、海外からの注文が多くなり、世界に瀬戸の名が広まります。
特に戦後は、精巧なノベルティ(陶磁器製の置物や装飾品など)が、セト・ノベルティとして注目され、日本のノベルティ輸出の大部分を瀬戸陶磁器が占めました。

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産地情報

名称 瀬戸染付焼工業協同組合
住所 〒489-0805
愛知県瀬戸市陶原町1-8

3-6. 常滑焼(愛知県常滑市)

常滑窯は、猿投窯(さなげよう)の流れをくんでいます。
古常滑とよばれる初期のものは大変歴史が古く、六古窯の中でも最古で最大規模でした。

安土桃山時代まで、累計で3000基を超す窯が築かれたと推定されています。
広い範囲で数多く出土しており、常滑焼が広く流通していたことがうかがえます。

平安時代には小椀、小皿など日用品のほかに仏教のお経を書いたものを入れた経塚壺(きょうづかつぼ)、室町・安土桃山時代には茶の湯や生け花用品など、さまざまなものが作られてきました。
江戸時代に入ると、それまでの素焼き状の赤物(あかもの)と呼ばれる製品のほかに、高温で焼きしめる真焼け(まやけ)の陶芸技術も加わります。

そして明治時代には西欧の技術が導入され、陶管、焼酎瓶、煉瓦タイル、衛生陶器などの生産がはじまりました。
常滑焼の特徴のひとつが、原料に含まれている鉄分を赤く発色させる技法です。
酸化鉄を多く含んだ陶土は、お茶を淹れた時に酸化鉄とお茶のタンニン反応して、苦み渋みがほどよくとれ、まろやかな味になるといわれています。

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産地情報

名称 とこなめ焼協同組合
住所 〒479-0836
愛知県常滑市栄町3-8

4.六古窯以外の焼き物産地

工芸
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