赤染衛門(あかぞめえもん)
傾ぶくまでの月をみしかな
後拾遺和歌集
【意味】
もう貴方がおいでにならないと諦めて寝てしまえば良かったのに、夜が更け月が西の空に傾くまでお待ちしてしまいました。
大江為基(おおえのためもと)
山下水(やましたみず)のむすぶこころを
【意味】
貴方は私がひっそりと山下水のように貴方を思っている事をご存知でしょうか。
和泉式部(いずみしきぶ)
あくがれいづる魂かとぞみる
【意味】
恋に苦しみ来し方ゆく末を嘆いていると、乱れ飛ぶ蛍が私の身から彷徨いでた魂のような気がします。
わが住む里や魂なきの里
【意味】
お盆は亡き人が来る夜ですが、貴方は来られず私の住んでいるこの里は魂のない私だけが住んでいます。
いまひとたびの逢ふこともがな
【意味】
私はまもなく死んでしまうでしょうが、あの世への思い出として、せめてもう一度貴方にお逢いしとうございます。
周防内侍(すおうのないし)
かひなく立たむ名こそをしけれ
【意味】
春の夜の儚い夢のような戯れの手枕をして頂いた為に、つまらなく立つ浮き名が口惜しく思われます。
待賢門院堀河
乱れてけさはものをこそ思へ
【意味】
貴方の愛情が長続きするかどうかわかりませんが、寝乱れたこの黒髪のように心も乱れている今朝は、物思いに沈んでおります。
宜秋門院丹後
逢はねど暮れの空ぞ待たるる
【意味】
なかなか現実には会えませんが、眠れば夢で貴方に会えるので夕暮れが待たれます。
壬生忠見(みぶのただみ)
人知れずこそ思ひそめしか
【意味】
私が恋をしているという評判は、早くも広まってしまった。誰にも知られないようにひそかに思いはじめたのだが。
平兼盛(たいらのかねもり)
ものや思ふと人の問ふまで
【意味】
忍びこらえていたけれど、とうとうその素振りに出てしまった。何か物思いをしているのですかと人が尋ねる程に。
権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)
昔はものを思はざりけり
【意味】
貴方と逢って愛しあった後の心に比べれば、それ以前の物思いなど無かったようなものだ。
中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)
人をも身をも恨みざらまし
【意味】
もしも逢うことが全く無いのなら、かえってあの人のつれなさも我が身も恨まなくて済むのに。
曾禰好忠(そねのよしただ)
ゆくへも知らぬ恋のみちかな
【意味】
由良の海峡を漕ぎ渡る船人が、櫂がなくなって行方もしらず漂うように、どうなるかわからない恋の道であることよ。
藤原義孝(ふじわらのよしたか)
長くもがなと思ひけるかな
【意味】
貴方に逢う為ならば惜しくないと思っていたこの命までもが、お逢いできた今となっては長くあって欲しいと思うようになりました。
藤原道信朝臣(ふじわらのみちのぶあそん)
なほ恨めしき朝ぼらけかな
【意味】
夜が明けたらいずれ日は暮れる、そしてまた逢う事が出来るとはわかっていますが、貴方と別れなければならない夜明けは恨めしい。
儀同三司母(ぎどうさんしのはは)
今日を限りの命ともがな
【意味】
貴方は「決して忘れまい」とおっしゃいますが、いつまでも心変わりしないなどありえないでしょうから、お逢いできた今日を最後とする私の命であって欲しいのです。
権中納言定家(ごんちゅうなごんさだいえ)
焼くや藻塩の身もこがれつつ
【意味】
来ない人を待つ、その松帆の浦の夕なぎの時に焼く藻塩のように、わが身は恋心に焦がれております。
読み人しらず
夢かうつつか寝てか覚めてか
古今和歌集
【意味】
昨夜は貴方がおいで下さったのか、それとも私がうかがったのでしょうか。今となっては夢かうつつかの仕合せの記憶に思い乱れております。
おきてわかれし暁の声
古今和歌集
【意味】
ほととぎすよ、朝露と共に余儀なくされた女性との別れ、ふと聞こえたお前の声は夢だったのか、うつつだったのか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
いつの時代も、恋愛は人を悩ませるもの。
お気に入りの和歌が一つでも見つかれば幸いです。
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