枕草子(まくらのそうし)は清少納言は1001年(長保3年)頃に書いた随筆で、約300の章段から成ります。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる枕草子の中から「かたはらいたきもの」について詳しく解説していきます。
枕草子「かたはらいたきもの」の解説
枕草子でも有名な、「かたはらいたきもの」について解説していきます。
枕草子「かたはらいたきもの」の原文
かたはらいたきもの。
客人などに会ひてもの言ふに、奥の方にうちとけ言など言ふを、えは制せで聞く心地。
思う人の、いたく酔ひて、同じ言したる。
聞き居たりけるを知らで、人の上言ひたる。
それは、名にばかりならねど、使ふ人などだにいとかたはらいたし。
旅立ちたる所にて、下衆どもの戯れ居たる。
憎げなる児を、おのが心地の愛しきままに、うつくしみ、愛しがり、これが声のままに、言ひたることなど語りたる(*)。
才ある人の前にて、才なき人の、ものおぼえ声に人の名など言ひたる。
ことによしともおぼえぬわが歌を、人に語りて、人の褒めなどしたるよし言ふも、かたはらいたし。
枕草子「かたはらいたきもの」の現代語訳
そばで見たり聞いたりするのが耐えられないもの。
お客などと会って話をしている時に、奥の方で客には聞かせられないような内輪の話などを(家人が)するのを、止めることもできないで聞いている気持ち。
愛する人がひどく酔って、同じことばかり何度もしゃべっている(こと)。
(本人が)聞いているのを知らずに、その人のうわさを言っている(こと)。
それは、それほど(の身分の人)でなくても、使用人など(の場合)でさえとてもいたたまれない。
外泊した所で、身分の低い者たちがふざけている(こと)。
かわいげのない幼児を、自分の気持ちではかわいく思うにまかせ、かわいがり、いとおしがって、その子の声をまねて、言ったことなどを話している(こと)。
学問・教養のある人の前で、無学な人が、知ったかぶりの調子で有名な人名などを言っている(こと)。
特によいとも思われない自分の歌を、人に話して、人が褒めたなどということ(=いきさつ)を言うのも、いたたまれない気がするものだ。
枕草子「かたはらいたきもの」の単語・語句解説
そばで見たり聞いたりするのが耐えられないもの。
[客人]
よそから訪ねて来た人。客。
[えは制せで]
止めることができない。
[いたく]
ひどく。非常に。
[何ばかり]
それほどの身分(の人)。
[下衆]
身分の低い者。使用人。
[戯れ居たる]
ふざけている。
[おのが心地の愛しきままに]
自分の気持ちが(その子どものことを)かわいいと思うままに。
[才]
学問・教養。
*枕草子「かたはらいたきもの」でテストによく出る問題
○問題:「これが声のままに、言ひたることなど語りたる(*)」とは誰がどうすることか。
答え:子どもを可愛がっている大人がその子供の真似をして他の人に語って聞かせていること。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は枕草子でも有名な、「かたはらいたきもの」についてご紹介しました。
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