徒然草(つれづれぐさ)は鎌倉時代末期に兼好法師(けんこうほうし)が書いた随筆です。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる徒然草の中から「静かに思へば」について詳しく解説していきます。
徒然草「静かに思へばの解説
徒然草でも有名な、「静かに思へば」について解説していきます。
徒然草「静かに思へばの原文
静かに思へば、よろづ過ぎにし方の恋しさのみぞ、せん方なき。
人静まりてのち、長き夜のすさびに、何となき具足とりしたため、殘し置かじと思ふ反古など破り捨つる中に、亡き人の手習ひ、絵描きすさびたる、見出でたるこそ、ただその折(*)の心地すれ。
このごろある人の文だに、久しくなりて、いかなる折、いつの年なりけんと思ふは、あはれなるぞかし。
手なれし具足なども、心もなくて変はらず久しき、いと悲し。
徒然草「静かに思へばの現代語訳
心静かに考えると、何事につけても過ぎ去ってしまった昔の恋しさばかりは、どうしようもなくせつないものである。
人が寝静まってのち、長い夜の慰みに、特にどうということもない身の回りの道具類を取り片づけ、残しておくまいと思う(書画などを書いて)使用済みの紙などを破り捨てるその中に、亡くなった人が字を思いの向くまま書き、絵を慰みに描き散らしたものを見つけ出した時は、全く(その人の生きていた)当時の心地がするものだ。
現に生きている人の手紙でさえも、長い年月がたって、(あれは)どういう場合の、いつの年であったろうかと思うのは、しみじみとした気持ちになる。
(亡くなった人が)使い慣れていた道具類なども、無心でいつまでも変わらず残っているのは、とても悲しい物である。
徒然草「静かに思へばの単語・語句解説
特にどうということはない。
[手習ひ]
”手習ふ”の連用形。ここでは”心に任せて文字をむだ書きするの意。
*徒然草「静かに思へばでテストによく出る問題
○問題:「その折(*)」とはいつか。
答え:”亡き人”が生きていた当時。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は徒然草でも有名な、「静かに思へば」についてご紹介しました。
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