徒然草「世に語り伝ふること」原文と現代語訳・解説・問題|高校古典

サフラン
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徒然草(つれづれぐさ)は兼好法師が書いた随筆で、鎌倉時代に書かれました。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる徒然草の中から「世に語り伝ふること」について詳しく解説していきます。

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徒然草「世に語り伝ふること」の解説

徒然草でも有名な、「世に語り伝ふること」について解説していきます。

徒然草「世に語り伝ふること」の原文

世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くは皆虚言なり。
あるにも過ぎて人は物を言ひなすに、まして、年月過ぎ、境も隔たりぬれば、言ひたきままに語りなして、筆にも書きとどめぬれば、やがてまた定まりぬ。

道々の物の上手のいみじきことなど、かたくななる人の、その道知らぬは、そぞろに神のごとくに言へども、道知れる人はさらに信も起こさず。
音に聞くと見る時とは、何ごとも変はるものなり。

かつ顕るるをも顧みず、口に任せて言ひ散らすは、やがて浮きたること(*)と聞こゆ。
また、我もまことしからずは思ひながら、人の言ひしままに、鼻のほどおごめきて言ふは、その人の虚言にはあらず。

げにげにしく、ところどころうちおぼめき、よく知らぬ由して、さりながら、つまづま、合はせて語る虚言は、恐ろしきことなり。
わがため面目あるやうに言はれぬる虚言は、人いたくあらがはず。

皆人の興ずる虚言は、ひとり

「さもなかりしものを。」

と言はんも詮なくて、聞きゐたるほどに、証人にさへなされて、いとど定まりぬべし。
とにもかくにも、虚言多き世なり。

ただ、常にある、めづらしからぬことのままに心得たらん、よろづ違ふべからず。
下ざまの人の物語は、耳驚くことのみあり。

よき人はあやしきことを語らず。
かくは言へど、仏神の奇特、権者の伝記、さのみ信ぜるべきにもあらず。

これは、世俗の虚言をねんごろに信じたるもをこがましく、

「よもあらじ。」

など言ふも詮なければ、おほかたはまことしくあひしらひて、ひとへに信ぜず、また疑ひあざけるべからず。

徒然草「世に語り伝ふること」の現代語訳

世間で語り伝えることは、真実はおもしろくないのであろうか、多くはみなうそである。
実際以上に人は物事をことさらに言うものなのに、まして、年月が過ぎ、その場所も離れてしまうと、言いたい(と思う)心のままにことさらに語って、(さらにそれを)文章にも書き留めてしまうので、そのままやはり(事実として)定まってしまう。

さまざまな学問・芸能の名人のすばらしいことなどを、教養がなくものの道理を解さない人で、その(学問や芸能の)方面を知らない人は、聞く時と見る時とでは、何事も変わるものである。
(話すそばから)人に(うそと)知られるのも気にせず、口から出まかせに言い散らすうそは、すぐに根拠のないことだとわかる。

また、自分も本当らしくないとは思いながら、人が言ったとおりに、鼻のあたりがぴくぴく動いて言ううそは、その人の(言い出した)うそではない。
(ところが)もっともらしく、(話の)ところどころをなんとなくぼかして、よく知らないふりをして、そうではあるが、話のはしばし(のつじつま)を合わせて語るうそは、恐ろしいことである。

自分のため名誉になるように(他人から)言われたうそ(については)、人はたいてい反論しない。
(さらにまた、)その場にいる全ての人がおもしろがっているうそは、(自分)一人が

「そうでもなかったのになぁ」

と言ったとしても仕方がなくて、(そのまま黙って)じっと聞いているうちに、(その話が事実であることの)証人にまでされて、いよいよもって(事実であると)決まってしまうだろう。
いずれにしても、うその多い世の中である。

ただ、(世の中に)普通にある、珍しくもないことのとおりに心得ているようならば、万事間違うはずはない。
身分が低く教養のない人の話は、聞いてびっくりすることばかりがある。

身分が高く教養のある人は不思議なことを語らない。
こうは言っても、仏や髪が表す霊験や、仏・菩薩が衆生を救うために、仮に神や人の姿になってこの世に現れたものの伝記は、それほど信じないのがよいというものでもない。

これ(について)は、俗世間のうそをむやみに信じているのもばからしく、

(そうかといって)「まさか(そんなことは)ないだろう。」

などと言うのも仕方がないので、大体は本当らしく扱って、一途に信じず、また疑ってばかりにしてはならない。

徒然草「世に語り伝ふること」の単語・語句解説

[虚言なり]
うそである。

[あるにも過ぎて]
実際以上に。

[言ひなすに]
ことさらに言うものなのに。

[言いひたきままに]
言いたい(と思う)心のままに。

[やがてまた定まりぬ]
そのままやはり定まってしまう。

[道々]
ここでは、さまざまな学問や芸能、の意。

[かたくななる人の]
愚かで教養のない人で。

[そぞろに]
むやみやたらに。

[さらに信も起こさず]
つまり、決して信用しないということ。

[かつ顕わるるをも]
話すそばからうそがばれる、ということ。

[やがて]
ここでは、すぐに、ただちに、の意。

[聞こゆ]
ここでは、わけがわかる、理解される、の意。

[まことしからず]
本当らしくない。

[鼻のほどおごめきて]
鼻の辺りがぴくぴくと動いて。

[げにげにしく]
もっともらしく。

[よく知らぬ由して]
よく知らないふりをして。

[つまづま合はせて]
話のつじつまを合わせて、ということ。

[いたくあらがはず]
たいして反論しない。

[皆人]
その場にいる全ての人。

[言はんも詮なくて]
言ったとしても仕方がないので。

[聞きゐたるほどに]
じっときいているうちに。

[いとど]
ここでは、いよいよもって、さらにいっそう、の意。

[とにもかくにも]
いずれにしても。

[めづらしからぬこと]
珍しくもないこと。

[違ふべからず]
間違うまずがない。

[下ざまの人]
身分の低い人。

[よき人]
身分が高く教養のある人。

[あやしきこと]
不思議なこと。

[信ぜざるべきにもあらず]
信じないのがよいというものでもない。

[ねんごろに]
むやみに。

[をこがましく]
ばからしく。

[あひしらひて]
扱って。

[疑ひあざけるべからず]
疑ってばかにしてはならない。

*徒然草「世に語り伝ふること」でテストによく出る問題

○問題:「浮きたること」とはどういうことか。
答え:根拠のないこと。事実無根のこと。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は徒然草でも有名な、「世に語り伝ふること」についてご紹介しました。

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