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枕草子「すさまじきもの」原文と現代語訳・解説・問題|清少納言

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枕草子(まくらのそうし)は清少納言が1001年(長保3年)頃に書いた随筆です。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる枕草子の中から「すさまじきもの」について詳しく解説していきます。

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枕草子「すさまじきもの」の解説

枕草子でも有名な、「すさまじきもの」について解説していきます。

枕草子「すさまじきもの」の原文

すさまじきもの。
昼ほゆる犬、春の網代。

三、四月の紅梅の衣。
牛死にたる牛飼ひ。

児亡くなりたる産屋。
火起こさぬ炭櫃・地下炉。

博士のうち続き女子産ませたる。
方違へに行きたるに、饗せぬ所。

まいて、節分などは、いとすさまじ。

験者の、物の怪調ずとて、いみじうしたり顔に、独鈷や数珠などを持たせ、蝉の声しぼり出だして誦み居たれど、いささか去りげもなく、護法も憑かねば、集まり居、念じたるに、男も女も、あやしと思ふに、時の変はるまで誦み極じて、

「さらに憑かれず。立ちね。」

とて、数珠取り返して、

「あな、いな験なしや。」

とうち言ひて、額より上ざまにさくり上げ、あくびおのれうちして、寄り臥しぬる。
いみじう眠たしと思ふに、いとしもおぼえぬ人の、押し起こしてせめてもの言ふこそ、いみじうすさまじけれ。

枕草子「すさまじきもの」の現代語訳

興ざめなもの。
昼間吠える犬。春の網代。

三月、四月の紅梅がさねの着物。
牛が死んだ牛飼い。

子どもが亡くなった産屋。
火を起こさない灰櫃・地下炉。

博士が続いて女の子ばかりを生ませたこと。
方違えに行ったところ、もてなしをしない所。

まして、節分など(のように方違の習慣があるときにもてなしをしないこと)は、たいへん興ざめである。

修験者が、物の怪を調伏をするといって、たいそう得意そうな顔つきで、独鈷や数珠を(よりましに)持たせ、蝉の(ような)声をしぼり出して(お経を)読んでいたが、全く物の怪が退散しそうになく、護法童子が(よりましに)のりうつらないので、(家の者が全員)集まり座って祈願していたのに(そこにいた)男も女も、変だと思っていたところ、(験者は)時の移るまで長々と読んでくたびれて、

「全く護法童子が憑かない。立ってしまえ。」

といって、(よりましから)数珠を取り返して、

「あぁ、あまり験がないなぁ。」と言って、額から上の方に(髪を)かき上げて、あくびを自分でして、寄りかかって寝てしまった(のは、興ざめである)。

たいへん眠たいと思っていたところ、それほど知らない人が、(自分を)起こして無理に話しかけてくるのも、たいそう興ざめであるなぁ。

枕草子「すさまじきもの」の単語・語句解説

[すさまじきもの]
興ざめするもの。

[昼ほゆる犬]
本来なら番犬として、夜にほえるべきとろである。

[饗せぬ所]
もてなしのごちそうをしない所。

[まいて]
いっそう。なおさら。

[調ず]
調伏する。

[いみじうしたり顔に]
たいそう得意そうな顔つきで。

[いささか去りげもなく]
少しも(悪霊が)退散しそうになく。

[念じたるに]
祈願していたのに。

[あやしと思ふに]
変だと思って。不思議に思って。

[さらに憑かず]
全く(護法童子が)取り憑かない。

[立ちね]
立ってしまえ。

[あな]
あぁ。あら。

[あくびおのれうちして]
あくびを自分でして。

[寄り臥しぬる]
寄りかかって寝てしまったのは、興ざめだ。

[いとしもおぼえぬ人の]
それほど大切にも思っていない人が(作者を)。

[せめてもの言ふ]
無理に話しかける。

*枕草子「すさまじきもの」でテストによく出る問題

○問題:「ありつる文(*)」とはどのようなものか。
答え:人のところに特別にきちんと書いて送った手紙。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は枕草子でも有名な、「すさまじきもの」についてご紹介しました。

その他については下記の関連記事をご覧下さい。

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