枕草子「ふと心劣りとかするものは」原文と現代語訳・解説・問題|清少納言

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枕草子(まくらのそうし)といえば清少納言が1001年(長保3年)頃に書いた随筆として有名です。
今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる枕草子の中から「ふと心劣りとかするものは」について詳しく解説していきます。

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枕草子「ふと心劣りとかするものは」の解説

枕草子でも有名な、「ふと心劣りとかするものは」について解説していきます。

枕草子「ふと心劣りとかするものは」の原文

ふと心劣りとかするものは、男も女も、言葉の文字いやしう使ひたるこそ、よろづのことよりまさりてわろけれ。
ただ文字一つに、あやしう、あてにもいやしうもなるは、いかなるにかあらむ。

さるは、かう思ふ人(*)、ことにすぐれてもあらじかし。
いづれをよしあしと知るにかは。

されど、人をば知らじ、ただ心地にさおぼゆるなり。

いやしきこともわろきことも、さと知りながらことさらに言ひたるは、あしうもあらず。
わがもてつけたるを、つつみなく言ひたるは、あさましきわざなり。

また、さもあるまじき老いたる人、男などの、わざとつくろひ、ひなびたるは、にくし。
まさなきことも、あやしきことも、大人なるは、まのもなく言ひたるを、若き人は、いみじうかたはらいたきことに消え入りたるこそ、さるべきことなれ。

何事を言ひても、

「そのことさせむとす」「言はむとす」「何とせむとす」

といふ「と」文字を失ひて、ただ

「言はむずる」「里へ出でむずる」

など言へば、やがていとわろし。
まいて、文に書いては言ふべきにもあらず。

物語などこそ、あしう書きなしつれば、言ふかひなく、作り人さへいとほしけれ。

「ひてつ車に。」

と言ひし人もありき。

「求む」

といふことを

「みとむ」

なんどは、みな言ふめり。

枕草子「ふと心劣りとかするものは」の現代語訳

不意に幻滅を感じるものは、男も女も、会話の用語を下品に使った場合が、どんなことにもましてよくない。
ただ言葉遣い一つで、奇妙なことに、上品にも下品にもなるのは、どういうわけなのだろうか。

とはいうものの、このように思う人が、特にすぐれているわけでもあるまい。
(そうだとすると)どれをよい、悪いと判断するのだろうか。

しかし、他の人の事はどうでもよく、ただ(自分の)気持ちとしてそのように思われるのだ。

下品な言葉も、よくない言葉も、そうと知りながらわざと言ったのは、悪くもない。
自分が身につけてしまっている言葉を、はばかりなく言ったのは、あきれたことだ。

また、そんな言葉を使うべきではない年取った人や、男などが、ことさらに言葉をつくろい、田舎びた言葉を使うのは、感じが悪い。
正しくない言葉も、粗野な言葉も、年輩である人が、平然と言っているのを、若い人は、大変いたたまれない事と思って消え入りたいような気持ちになっているのは、当然の事だ。

どんなことを言っても、

「そのことをさせむとす」「言はむとす」「何とせむとす」

という「と」の文字をなくして、ただ

「言はむずる」「里へ出でむずる」

などと言うと、たちまちとてもよくない(言葉になる)。
まして、(そんなふうに)文書に書いては言いようもない(ほどひどい)。

物語などは、(言葉を)悪く書いてあると、言いようもなくひどく、作者までかわいそうに思われる。

「ひてつ車に」

と言った人もいた。

「求む」ということを「みとむ」など(と言うの)は、みんな言うようだ。

枕草子「ふと心劣りとかするものは」の単語・語句解説

[ふと心劣りとかする]
不意に幻滅を感じる。

[ことにすぐれてもあらじかし]
特にすぐれているわけでもあるまい。

[知るにかは]
判断するのだろうか。

[大人なるは]
年輩である人が。

[かたはらいたきこと]
いたたまれないこと。

*枕草子「ふと心劣りとかするものは」でテストによく出る問題

○問題:「かう思ふ人(*)」とは誰のことか。
答え:作者である清少納言。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は枕草子でも有名な、「ふと心劣りとかするものは」についてご紹介しました。

その他については下記の関連記事をご覧下さい。

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